緊急時には様々な方が避難され共同生活を送ります。
その際避難者の方の状態を把握することでリスクを回避しやすくします。
下記表は状態ごとにハイリスク者、ハイリスク予備軍、一般被災者と別れています。
呼び方 | 状態 | 対応者 |
---|---|---|
ハイリスク者 |
医療・福祉の専門対応が直ちに必要な人 |
医療・福祉の専門家 例)医師、保健師、看護師、臨床心理士など |
ハイリスク予備軍 |
緊急性は高くないが生活に支障のある状態が続いているなど生活のリズムや役割、対処方法、活力を自ら見いだせていない |
地域の住民 ボランティア・NPO (女性、子ども等の専門分野を持つ団体) 在宅医療・福祉の専門職 (訪問看護、ヘルパー、リハビリテーション関係者など) |
ハイリスク予備軍の人 | 上記の状態ではない方(通常の支援があれば自ら生活再建に向けて動くことができる方) | 行政 地域の住民 ボランティア・NPO |
避難所では災害のショックと集団生活になるためのストレスで思わぬ症状を抱えてしまう方もいます。 声を掛け合いコミュニケーションをとることで早期のきがつきと対処が可能になります
熊本県益城町の避難所よりお電話を頂きました、トイレが和式で排泄頻度が低い方がいる。
お話を聞くと膝の曲げ伸ばしに問題が出やすい高齢者の方でした。
東日本大震災でも「野菜などの繊維質不足や環境の変化」から、一週間程度便秘をしているという方が私を含めてたくさんいらっしゃいました。
私も足に障害があるため、しゃがめないから排泄ができないということがありました。
それを誰に伝えてよいのかわからないのであきらめてしまうことも。そんな経験から仮設トイレの、和式をポータブルの洋式便座に代えるなど工夫をしました。
また、水の止まった洋式トイレの便座にナイロン袋を掛け排泄をし袋をしっかりと結び屋外の指定したスペースに穴を掘り埋める方法も使いました。
また避難所では女性の方のトイレに配慮が必要ですあまりにも出入りが丸見えになることを気にしてトイレにいかないために水分不足で脱水症状などを招くこともあります。
ついたて用のダンボールを用意し安心して用を足せる環境づくりも必要になります。
避難所のトイレが遠い、よごれている、暗い、和式しかなく段 差があるなどで、安心できる環境が整っていないと、用を足すことをがまんする人が多くなります。
この状態が続くと、便秘やぼうこう炎の発症、脱水症状や高血圧などの健康被害の引き金に なってしまいます。
またしっかり掃除を行い極力衛生的に使用できるよう心がけることで感染症のリスクを下げることにつなげます。
仮設トイレの使用に当たり。。。足の悪い方、高齢者、子ども、避難所には沢山の方が居ます。 和式トイレにかぶせる洋式カバーを用いることで、排泄の環境が飛躍的によくなります。
避難所でよく見かけるのが炊き出しやおにぎり、パンなど配給から時間のたったものを持っている方がいます。
そのとき食べられなかったり、せっかく頂いたからと貰わないと申し訳ないと食べきれない物をそのまま残している方がいます。
間違えて数日前の物を食べてしまい体調をくづす事があるので処分を促しましょう。
避難所の子どもたちには、暴力的になる、怒りっぽくなる、落ち着きが無い、赤ちゃん返りするなど、心が安定しないことで様々な変化がみられます。
避難所の場合突然の共同生活ストレスと感じたり、我慢が続き爆発してしまったり、急に甘えたりといった変化が見られます、地震のショックなどから活発だった子供が無口になるなどの変化も見られます。
そこで、二次災害の危険が下がった時点で、避難所のお手伝いや遊び場の環境を整えると良いでしょう。
長期化した場合、避難所から学校に通うことやボランティアによる学習支援企画して情報を共有し、親子 ともに継続的に見守りを行ってゆくと良いでしょう。
ペットが入れない避難所では、犬と一緒に生活するため、避難所では無く車で寝ている方もいます。
そのような方とは、情報共有できていないことや、住民同士のコミュニケーション不足が小さなトラブルとなり後に大問題となる場合があります。
近隣の車上避難者や在宅避難者にも声をかけ食事や物資の情報や役所からの情報を共有できるようにしていきましょう。
女性の場合、避難所の責任者や物資担当者は、近所の人の場合もあり大半が男性で女性用品を貰うことをためらったり、女性ならではの問題で困っていること、育児や介護に必要なものが理解してもらえないことがあります。整理用ナプキンを男性の物資担当から受け取るのは抵抗感がでます。生理用品は女性に管理を委ね相談できる環境を作りましょう。
お母さんは、地震のストレスで急にお乳が出なくなった 物資で届いた粉ミルクもほ乳びんや消毒薬がなく飲ませられない。 授乳中の胸元を周囲に見えてしまいそうで辛い。そんなことの無いように授乳スペースをつくり、授乳がしやすい環境を作りましょう。 また着替えのための更衣室としても活用ができるので早い段階で設置をしましょう。
避難所の安全が十分に保たれていないと、トイレ周辺にチカンが出たり、女性の下着が盗まれたり、寝る場所で隣の男性から性被害を受けたりといった事件が起こりえます。 男の子が被害にあうこともあります。
こうした被害にあわないよう女性や子どもに少しでも安全な、環境を作りましょう。
対策として、避難所の中に男女別の更衣室を用意する、トイレ周りを明るくする、などが考えられますが、避難所の防犯対策を積極的に行うようにすることや、避難所の運営に女性が入って見回りをしたり声かけをすることも大切です。
トイレ、浴室、支援物資の配布が完全に男女に分かれていると、セクシャル・マイノリティの人はほしい物資が受け取れないなど、多様な性に対応できないことがあります。男女別のトイレの他に、だれでも使えるトイレを用意するなどの配慮が必要です。
自宅にとどまった被災者は、食事や物資が不要というわけではありません。
逆に介護や育児などで避難所を使えない事情を抱え ているハイリスク予備軍であるかもしれません。
避難所を開設した当初から、自宅にとどまった被災者も避難所 の物資を受け取れるようにしておくことで、住民の間の無用なトラブルや誤解を防ぐことができます。
避難所の生活がある程度落ち着いたら、用途別にスペースを確保しましょう。
避難所のなかで冷暖房やトイレなどの環境が整っている場所は、福祉避難スペースとして確保します。
トイレや食事に助けが必要な方、常に見守りが必要な方などに優先的に入ってもらいます。
女性専用スペースもつくり、安心して着替えや授乳ができる場所を設けます。
避難所の建物や時期によって、どうしても専用スペースを設けるのが難しい場合には、一人用の簡易テントでも代わりになります。
ただし、防犯設備がない場合には、暗いところに置かない、見張りを立てるなど、安全には十分注意しましょう。
長い期間避難所生活を続けていると、曜日の感覚がわからなくなったり、見通しが立たないままの単調な生活でやる気や目標を見出せず、心身の体調を崩す人も出てきます。
食事や体操などのイベントは、できるだけ決まった時間、決まった場所で継続して行うようにすると、避難所生活にメリハリをつけやすいでしょう。
また、イベントを告知するチラシは積極的に配るようにしましょう。
チラシ配りは会話の機会になりますし、先の楽しみができれば、次の予定が立つことで生活に張りが生まれます。
「今週の予定」などを掲示するのも良いでしょう。